
JOURNAL
DESIGN
毎日使う、家の鍵。
出かけるときに持っていき、帰ってきたら玄関に戻す。
とても小さな行為ですが、ほぼ毎日繰り返しています。
我が家にも玄関にキートレイがあります。
家の鍵、自転車の鍵、家族の鍵。
いくつか並んでいると、「これは何の鍵だったかな」「誰の鍵だったかな」と、一瞬迷うことがあります。
だったら、鍵そのものを見ただけで分かるようにできないだろうか。
そこから、このキーフックのデザインを考え始めました。

最初に考えたのは、キーホルダーです。
家の鍵なら「家」。
自転車の鍵なら「自転車」。
車の鍵なら「車」。
文字で書かなくても、形を見れば何の鍵なのか分かる。
でも、それだけでは普通のキーホルダーです。
せっかくなら、鍵を使っていない時間にも、この形に意味を持たせたい。
そこで考えたのが、
「鍵を戻す場所と、キーホルダーをひとつのデザインにする」
というアイデアでした。

壁側には、家のシルエット。
鍵につけるキーホルダーも、その家の一部になる形にしました。
出かけるときには、家からキーホルダーを外して鍵を持っていく。
そして帰ってきたら、また元の場所へ戻す。
すると、家の風景が完成します。
単に「フックに鍵を掛ける」のではなく、
鍵を戻すという行為そのものが、デザインの一部になる。
ここが、このプロダクトで一番やりたかったことです。
考えていく中で大切にしたのが、鍵が掛かっている時だけではありません。
鍵を持って出かけている時にも、壁に残ったものが不自然に見えないこと。
そして帰宅して鍵を戻した時には、少し違った表情になること。
「ある時」と「ない時」。
その両方が成立するように、家の輪郭やキーホルダーの大きさ、指を掛けるための段差などを少しずつ調整していきました。
完成した形だけを見ると、とてもシンプルです。
でも、そのシンプルな形の中に、使う人の動作まで入れたいと考えています。

このアイデアは、家の鍵だけで終わりではありません。
次に考えているのは、自転車と車です。
自転車の鍵を戻したら、家の庭に自転車が現れる。
車の鍵を戻したら、家の横に車が停まる。
家+自転車。
家+車。
家+自転車+車。
あるいは、車が2台ある家。
暮らし方が違えば、玄関にある鍵も違います。
だから、一つの完成形をつくるというより、使う人の暮らしに合わせて小さな風景をつくっていけるシリーズにしたいと思っています。
出かけるとき、家から鍵を持っていく。
帰ってきたら、また家に戻す。
そして、小さな風景が完成する。
日常の行為を、少しだけ楽しく。