JOURNAL

DESIGN

2026/10/4

鍵を戻すと、家が完成する。

毎日使う、家の鍵。

出かけるときに持っていき、帰ってきたら玄関に戻す。

とても小さな行為ですが、ほぼ毎日繰り返しています。

我が家にも玄関にキートレイがあります。
家の鍵、自転車の鍵、家族の鍵。

いくつか並んでいると、「これは何の鍵だったかな」「誰の鍵だったかな」と、一瞬迷うことがあります。

だったら、鍵そのものを見ただけで分かるようにできないだろうか。

そこから、このキーフックのデザインを考え始めました。

鍵に「意味のある形」をつける

最初に考えたのは、キーホルダーです。

家の鍵なら「家」。
自転車の鍵なら「自転車」。
車の鍵なら「車」。

文字で書かなくても、形を見れば何の鍵なのか分かる。

でも、それだけでは普通のキーホルダーです。

せっかくなら、鍵を使っていない時間にも、この形に意味を持たせたい。

そこで考えたのが、

「鍵を戻す場所と、キーホルダーをひとつのデザインにする」

というアイデアでした。

鍵を戻すと、家になる。

壁側には、家のシルエット。

鍵につけるキーホルダーも、その家の一部になる形にしました。

出かけるときには、家からキーホルダーを外して鍵を持っていく。

そして帰ってきたら、また元の場所へ戻す。

すると、家の風景が完成します。

単に「フックに鍵を掛ける」のではなく、

鍵を戻すという行為そのものが、デザインの一部になる。

ここが、このプロダクトで一番やりたかったことです。

ある時と、ない時。

考えていく中で大切にしたのが、鍵が掛かっている時だけではありません。

鍵を持って出かけている時にも、壁に残ったものが不自然に見えないこと。

そして帰宅して鍵を戻した時には、少し違った表情になること。

「ある時」と「ない時」。

その両方が成立するように、家の輪郭やキーホルダーの大きさ、指を掛けるための段差などを少しずつ調整していきました。

完成した形だけを見ると、とてもシンプルです。

でも、そのシンプルな形の中に、使う人の動作まで入れたいと考えています。

次は、庭に自転車を。家の横には車を。

このアイデアは、家の鍵だけで終わりではありません。

次に考えているのは、自転車と車です。

自転車の鍵を戻したら、家の庭に自転車が現れる。

車の鍵を戻したら、家の横に車が停まる。

家+自転車。
家+車。
家+自転車+車。
あるいは、車が2台ある家。

暮らし方が違えば、玄関にある鍵も違います。

だから、一つの完成形をつくるというより、使う人の暮らしに合わせて小さな風景をつくっていけるシリーズにしたいと思っています。

日常の行為を、少しだけ楽しく。

出かけるとき、家から鍵を持っていく。

帰ってきたら、また家に戻す。

そして、小さな風景が完成する。

日常の行為を、少しだけ楽しく。