
JOURNAL
DESIGN
今日、Walltoshに新しい3Dプリンターが届きました。
Bambu Labの「A1 mini」です。
でも、僕にとって3Dプリントは、新しく始めるものではありません。
振り返ってみると、最初に3Dプリンターを使い始めたのは2012年。
北米に駐在していた頃でした。
当時はまだ今ほど3Dプリンターが身近ではなく、いろいろな機種を試しながら、自分で試行錯誤を繰り返していました。
その後MakerGearなどのプリンターも使うようになり、気づけば複数台の3Dプリンターを使って、毎日のように何かをつくっていました。
最初は純粋に、自分が欲しいものをつくることが楽しかった。
「こんなものがあったらいいな」と考えて、
デザインして、
3Dデータをつくって、
プリンターから実物が出てくる。
この一連のプロセスに夢中になりました。

アイデアの多くは、日常生活の中から生まれました。
身の回りにあるものを見ながら、「もう少しこうだったら使いやすいのに」と考えて、それをそのまま形にする。
今考えると、この頃からやっていることはあまり変わっていないのかもしれません。
つくった作品は、Thingiverseをはじめとした3Dデータ共有サイトで公開していました。
最初はただ作品をアップしていただけでした。
ところが少しずつ世界中から反応をもらえるようになり、作品が紹介されたり、多くの人にダウンロードしてもらったりするようになりました。

北米やヨーロッパのメーカー、DIY関連の企業やクリエイターなどから声をかけてもらい、コラボレーションやオンラインでのインタビューも経験しました。
当時のインタビュー記事も、今でもインターネット上に残っています。
そこには、北米に住んでいた当時の僕が、3Dプリンターを使った自分のデザインを世界に発信したい、と話していました。

Cults 3D – 3D Printing Designers Interview: Tosh Sayama
北米在住時に掲載された3Dプリントデザイナー・インタビュー
当時のインタビューを今読み返してみると、「アイデアは日常生活から。身近なものをより良くしたい」と答えています。
14年経った今も、この考え方はほとんど変わっていません。
さらに、アメリカの有名な投資家向けTV番組のプロデューサーから、出演について声をかけてもらったこともありました。
自分の身の回りにある小さな「こんなものが欲しい」から始まったものづくりが、インターネットを通じて世界につながっていく。
今振り返っても、とても面白い経験でした。
ちょうどその頃、日本への帰国が決まりました。
3Dプリントの活動をさらに広げるという選択肢もあったのかもしれません。
でも当時の僕は、自動車業界での仕事を続ける道を選びました。
帰国後も、3Dプリントから完全に離れたわけではありません。
Prusa MK3を2台導入するなど、個人でもデザインとものづくりを続け、オリジナルの生活雑貨をはじめ、さまざまなアイデアを形にしてきました。
仕事では自動車を中心に、プロダクトの企画やデザインに携わりながら、自分でも「考えて、デザインして、形にする」ことを続けてきました。
今年、Walltoshを立ち上げました。
商品企画、デザイン、3Dデータ制作、試作など、これまで培ってきた経験を生かした仕事を続けながら、もう一つ、ずっとやりたかったことがあります。
それが、自分たちで考えたプロダクトを、自分たちの手で形にして届けること。
今日届いたBambu Lab A1 miniは、そのための新しい一歩です。
3Dプリントは、Walltoshのものづくりを支える手段のひとつです。
アイデアをすぐ試作することもできる。
デザインを実際に手に取って検証することもできる。
そして、3Dプリントだからこそ成立するプロダクトを、そのまま商品として届けることもできる。
これまでのデザインや企画の仕事と切り離すのではなく、それらとつながる新しいものづくりとして育てていきたいと思っています。
昔に比べれば、3Dプリンターの性能も、スピードも、使いやすさも大きく進化しました。
でも、やりたいことは2012年の頃とあまり変わっていません。
「こんなものがあったらいいな」を考える。
デザインする。
形にする。
そして、誰かに使ってもらう。
これからWalltoshでは、そんな小さなアイデアから生まれたオリジナルプロダクトも、少しずつ発表していきます。
自分自身が欲しいと思えるもの。
使うことで少し楽しくなるもの。
そして、3Dプリントだからこそできるもの。
まずは一つずつ。
そして、日本だけでなく、もう一度海外にも届けていきたいと思っています。
2012年、北米で始めた3Dプリント。
あれから14年。
今度はWalltoshという場所で、
もう一度、新しいものづくりを始めます。